ファッツ・ナバロは、ビ・バップ全盛時代に多くのミュージシャンに影響を与えた天才トランぺッターです。
ファッツ・ナバロの演奏スタイルは、後のクリフォード・ブラウンに多大な影響を与えたと言われています。
若くして一生を終えていますので、今の日本ではそれほど有名ではないかもしれませんが、特にこれからモダンジャズを聴こうと思っている人には、是非聴いてもらいたいジャズ・ミュージシャンの一人です。
目次
ファッツ・ナバロの経歴
ファッツ・ナバロは、1923年にアメリカ・フロリダ州生まれのジャズトランペット奏者です。(マイルス・デイヴィスより3歳上)
6歳でピアノを始め13歳ではトランペットを始めました。
早くしてジャズの世界では台頭し、1941年(18歳)ではスヌーカム・ラッセル楽団に参加しディジー・ガレスピーの推薦でビリー・エクスタイン楽団に加入することになります。
1946年(23歳)にニューヨークに移住しケニー・クラーク、コールマン・ホーキンスなどとレコーディングをする機会を得てニューヨークでも注目される存在になります。

またタッド・ダメロン、イリノイジャケ、バド・パウエルなど多くのレジェンド達のセッションに参加しました。
1948年(25歳)にはライオネル・ハンプトン楽団に参加しますが、この頃から麻薬に溺れ、結核にも侵されてしまいます。
1950年(26歳)身体はボロボロでやせ細り、ニューヨークにて短い人生に幕を下ろしました。
ファッツ・ナバロの特徴
ジャズのトランペット奏者は、ルイ・アームストロングをかわきりに、ディジー・ガレスピー、クリフォード・ブラウン、マイルス・デイヴィスと続くのが一般的と言われていますが、このクリフォード・ブラウンのアイドルが、ファッツ・ナバロになります。
ビ・バップのジャズ全盛時代に天才トランぺッターとして後進に多大な影響を与えてきました。
早くして亡くなってしまったので名前の知名度は他のレジェンドと比べるとどうしても低いかもしれませんが、ミュージシャンからの評価されているトランペット奏者と言えます。
当時のジャズの世界は、マイルス・デイヴィスを代表するように新しい音楽を創造している人が、評価されていますが、ファッツ・ナバロは短命だったこともあり、残されている音源はビ・バップジャズしかありません。

ビ・バップジャズはアクロバティックなテクニックのみ奏でる側面もある中、ファッツ・ナバロの演奏は、高いテクニックから端正なフレーズがあふれ出ています。
サックスの世界では、レスター・ヤング、チャーリー・パーカーを流れるようなフレーズの始まりとして「天才」と紹介する場合があります。
トランペットの世界では、ファッツ・ナバロ、クリフォード・ブラウンをそれと同じ意味で紹介してもいいのでは、と思っています。
特にこれからジャズを始める人は、教科書のように聴いてほしいミュージシャンの一人です。

また、ジャズ談義中にクリフォード・ブラウンの名前が出たら、ファッツ・ナバロの名前は、セットで出すとだいたい喜ばれます。
トランペット奏者は、時々頬を膨らませて演奏する人がいます。代表選手としてディジー・ガレスピーが挙げられますが、その次にファッツ・ナバロも挙げられます。ちなみに日野照正もですよね。