デクスター・ゴードンは、アメリカのジャズ・テナー・サックス奏者です。
背が高く、帽子がよく似合い、ジャズだけでなく俳優としても高い評価を受けていました。
名盤「GO」だけでなく、この記事を読むとデクスター・ゴードンのレジェンドぶりが理解できます。
目次
デクスター・ゴードンの経歴
デクスター・ゴードンは、1923年西海岸ロサンゼルスの中流階級家庭に生まれたテナー・サックス奏者です。(マイルス・デイヴィスより3歳年上)
ジャズファンの父親の影響もあって13歳からクラリネット、15歳でサックスを始め、10代でプロのミュージシャンとして生きる道を選択しました。
1940年代にデクスター・ゴードンはフレッシャー・ヘンダーソンやビリー・エクスタインなどの一流ビッグバンドに在籍して人気を博していましたが、その後ジャズの本場ニューヨークに移り住みました。
既に、バド・パウエル、マックス・ローチ、アート・ブレイキーなどの敏腕プレイヤーと共演し名声を得ていましたが、当時の悪い流れに乗って薬物に手を出し1952年の末には療養兼ねて刑務所にしばらく入っていました。

ニューヨーク時代は、豪華なメンバーと共に『デクスター・ライズ・アゲイン』、『ロング・トール・デックス』のアルバムを出し、ワーデル・グレイと『ザ・チェイス』も吹き込んでいます。
その後復帰したものの刑務所への出入りは1960年まで続くことになります。
この時期は、ジャズ界はビバップの最盛期でした。
デクスター・ゴードンの演奏についてオリジナリティーがあると言われる所以があるとすれば、もろにビバップの影響を受けていないと言えます。
1962年(39歳)からヨーロッパのコペンハーゲンを活動の拠点とし、14年間(53歳まで)も生活することになります。
当時は麻薬に溺れるジャズメンも多く、それを逃れるためにヨーロッパに行くケースもあったと言われています。
当然ヨーロッパでは、ブルーノートから発表した『アワ・マン・イン・パリ』『モンマルトル・コレクション』などデクスター・ゴードンを代表するアルバムを発表しています。
1976年(53歳)デクスター・ゴードンは、本場アメリカに戻りヴィレッジ・ヴァンガードでコンサートを行います。
1987年(64歳)に映画「ラウンド・ミッド・ナイト」で主役を務め役者としても才能のあることを証明しています。

「ラウンド・ミッド・ナイト」の音楽担当は、ハービー・ハンコックが行いアカデミー賞を受賞しています。
1990年公開の映画「レナードの朝」(ロバート・デ・ニーロ主演)では、晩年のデクスター・ゴードンの演技を見るとこが出来ます。
1990年(67歳)フィラデルフィアにてジャズレジェンドとしての幕を下ろしました。
デクスター・ゴードンの特徴
デクスター・ゴードンの特徴① 音が太く迫力ある演奏
デクスター・ゴードンの特徴としては、演奏は野太く迫力がありジャズ初心者にはおすすめの演奏です。
彼の経歴は、他の当時のミュージシャンと同じように薬物に翻弄されてきました。ビバップの最盛期に速く細かいビバップ特有のノリを経験しなかったことで大らかな演奏になったと言う人もいます。
また、当時のジャズ界は一つの演奏を続けるより新しい演奏スタイルを生み出すことに重きを置いていましたが、デクスター・ゴードンは終始ジャズ演奏を続けてきました。
そのことによりヨーロッパから帰ってきてからの演奏は、非常にクリアな録音もたくさん出ているのでとても聴きやすいです。

デクスター・ゴードンの特徴② 「もったり」としたイメージ
デクスター・ゴードンの演奏は「もったり」としたイメージがあります。
特にテンポのいい曲を聴くとリズム隊を追いかけながら演奏しているように聞こえ、他の演奏家と比べると「もったり」している感じがします。
ただ、それが気持ちいいんです。
当初「リズム悪い人?」と思ったことがありましたが、たぶんリズム感が良くて遅れ気味を楽しみながら演奏しているのだと思います。。
デクスター・ゴードンの特にいいところ
自分が信じる演奏を仕切っているところ
音だけで自分の存在する空気感を作っているところ

少し力が入ってほめ過ぎたかもしれません。
ジャズレジェンドの割に人気は、低いかもしれないデクスター・ゴードンですが、聞き返すといいところのたくさんあるジャズ・テナー・サックス奏者です。
音楽には元気になる要素とリラックスする要素がありますが、デクスター・ゴードンのジャズは、リラックスする為には適した音楽だと思います。
是非、これを機会にデクスター・ゴードンを聞き直してみてください。