キース・ジャレットは、今やジャズ界では大御所のピアニストです。
今までキース・ジャレットは、ソロピアノからクラシックまでさまざまなジャンルの作品を発表してきました。
生粋のジャズファンからするとキース・ジャレットの音楽は、ジャズではないと言う人もいるようですが、素晴らしい音楽なのは間違いないのでジャズ初心者は、一度聴いてみるべきです。
目次
キース・ジャレットの経歴
キース・ジャレットは、1945年にペンシルバニア州に5人兄弟の長男として生まれたピアニストです。(マイルス・デイヴィスより19歳年下)
3歳よりピアノのレッスンを始め、幼いころから作曲をして高校時代からジャズに傾倒するようになりました。
卒業後は、ボストンのバークリー音楽大学へ進学してバンドを結成、ジャズピアニストとしての活動を開始します。
1965年(20歳)にはアート・ブレーキーに誘われジャズ・メッセンジャーに加入。
1967年(22歳)にはポール・モチアン、チャーリー・ヘイデンと初のトリオ作品を発売しました。
1970年(25歳)に当時既に大御所になっているマイルス・デイヴィスから声が掛かり1年半程一緒にやっています。
今では信じられないですが、当時チック・コリアもマイルス・グループに在籍しており、チック・コリア、キース・ジャレットがツイン・キーボード体制で同じバンドにいたということになります。
マイルス・グループに在籍当時からドイツのECMのオーナーと知合いピアノ・ソロ・アルバム「フェイシング・ユー」を発表し、その後ECMから30年以上発表し続けることになります。
ケルン・コンサート
1972年頃から始めたソロピアノですが、1975年にドイツのケルンで完全即興の演奏を録音し、それがソロ・アルバムとして最も売れたピアノ・ソロ・アルバムと言われています。
私も20代の頃よく聴いていたアルバムが、この「ケルン・コンサート」でした。突き抜けるようにクリアな音でゆっくり始まりその後躍動感ある演奏に変わります。
ジャズかジャズでないかの判断は他の方にお任せしますが、好きなアルバムには変わりありません。

ヨーロピアン・カルテット
ヤン・ガルバレク (テナー・サックス、ソプラノ・サックス)、パレ・ダニエルソン(ベース)、ヨン・クリステンセン(ドラムス)とのバンド。(1974年~1979年)
キース・ジャレット・トリオ
どうやら正式なバンド名はないのかもしれませんが、「キース・ジャレット・トリオ」もしくら「スタンダーズ・トリオ」と呼ばれています。
ゲイリー・ピーコック(ベース)、ジャック・ディジョネット(ドラムス)
(1983年~)
おそらく一番多く作品を発表しているのが、このバンドです。
キース・ジャレットらしい演奏を聴くことができます。

キース・ジャレットのクラシック音楽への取組
キース・ジャレットは1987年のJ.S.バッハの『平均律クラヴィーア曲集第1巻』を手始めに他にはショスタコーヴィチ、ヘンデル、モーツァルトなどの作品を取り上げています。
クラシックのことは詳しく語れませんが、音が綺麗なのはよく分かる演奏です。
ここ大事なので何度でも言います。
キース・ジャレットの演奏は、どれを聴いてもピアノの音がクリアです。
キース・ジャレットの特徴
私の中ではキース・ジャレットのイメージは、かなりいいです。
ジャズミュージシャンで好きなミュージシャンとしてキース・ジャレットの名前を上げると少し小粋なイメージがあります。
他のジャズピアニストのアドリブは、少しテクニックがあれば真似することが出来るかもしれませんが、キース・ジャレットのアドリブの真似は、なかなか難しいと思います。
ジャズ初心者は、最初に真似をしてはいけません。それだけオリジナリティーあるフレーズの連続です。

キース・ジャレットは、志村けん?
キース・ジャレットのトリオを聴くとかなりの高確率で唸り声が録音されています。
誰かが「志村けんなの?」と言っていましたが、もちろんキース・ジャレットの声です。
しかも音程と関係ない唸り声なので音楽的には雑音です。この志村けんのような声が気になって聴いていられないと挫折する人も多いようです。
私は、幸いにもそれほど気にならないタチなので普通に楽しんで聴いていますが、雑音ではないのでご注意ください。
キース・ジャレットの説教
イメージのいいキース・ジャレットですが、自分ではなくお客さんが雑音を出すと演奏を中止して説教したこともあるとか。
(晩年、立川談志もお客さんに文句を言ったこともありました)個人的には、お客さんへの説教は、勘弁してほしいなと思います。

それだけ自分の音楽に自身を持っていて、そこだけは妥協できないのかもしれませんね。
困った人だな、と大人の目で見てやってください。
キース・ジャレットの病気
2018年(73年)に脳卒中を2回発病し、現在リハビリ中です。左半身麻痺をした体は、杖を使って歩けるようになるまで1年を要し、左手が回復することは絶望的に難しい様です。
キース・ジャレットは何度も日本に来日しており、私はジャズとクラシックの演奏を2回聴きに行ったほどキース・ジャレットには思い入れがあっただけに演奏できないことは残念ですが、彼の演奏は今でも心に響いています。