エロル・ガーナーは、アメリカ出身のジャズ・ピアニスト、作曲家です。
ジャズスタンダードの「ミスティ」を作曲したことでも有名で、左利きのピアニストとしてもよく知られています。
この記事では、エロル・ガーナーの経歴・代表曲をジャズ初心者にも分かりやすく紹介します。
目次
エロル・ガーナーの経歴
エロル・ガーナーは、1921年にペンシルベニア州ピッツバーグ出身のジャズ・ピアニスト、作曲家です。(マイルス・デイヴィスより5歳年上)
ピアニストとしては珍しく左利きです。
音楽好きの両親の影響で幼少期からピアノを弾き始めます。当時からクラシックやジャズを聴きながら独学でピアノを弾くようになりました。
エロル・ガーナーの才能に気付いた母親は、彼に正式なピアノ教師を付けましたが、楽譜には目もくれずに結局自分でコードを押さえ、メロディーを好き勝手に弾くことにしか興味を持ちませんでした。
1944年(23歳)ニューヨークに渡りました。
1947年(26歳)当時全盛期のチャーリー・パーカーと共演することになります。
1954年(33歳)「ミスティ」を録音。
1955年(34歳)アルバム「コンサート・バイ・ザ・シー」を録音して大ヒットを生み出しました。
1977年(55歳)死去。
エロル・ガーナーの特徴
エロル・ガーナーは、とても特徴のあるピアニストです。
・譜面を読めない
・ビハインド・ザ・ビート
ジャズのピアニストは、それぞれ個性の塊ですが、特にエロル・ガーナーの個性は際立っています。
最初に言っておきますが、ジャズ初心者の方にはあまりおすすめできないかもしれません。
まず、左利きも関係していると思いますが、左手のコードを演奏する音が大きいです。ガンガンきます。
繊細で綺麗なピアノ演奏を好きな人には、おすすめできません。
左手のベース音が印象的なので少しオスカーピーターソンぽい演奏家と思いきや、右手はブロックコードでものすごい音圧で演奏しています。

それに加えエロル・ガーナーの一番の特徴である「ビハインド・ザ・ビート」で右手の遅れ気味の演奏が繰り広げられます。
ビハインド・ザ・ビートが面白いとエロル・ガーナーに興味を持った人は、ますますハマると思いますが、他のピアニストで彼と似ている演奏をしている人を聴いたことがありません。
当時のジャズ界ではピアノは、パウエル派が有名でしたが、ガーナー派というスタイルは生まれなかったとか。
今になってもガーナー派という演奏スタイルは生まれていないので、このような演奏はエロル・ガーナーだけになったようです。
しかも、エロル・ガーナーはほとんどピアノトリオの演奏しかありません。ベースソロはなく、ピアノを全面に打ち出しています。
また、バップ全盛期以降のジャズ・ピアニストの多くは、クールさを追求してオシャレな演奏をする人が多いですが、エロル・ガーナーのピアノは、ハッピージャズです。

デューク・エリントンやサッチモのアドリブに近いです。
ディズニーランドで演奏されるようなディキシーランドジャズを好きな人は、エロル・ガーナーのピアノを好きになるかもしれません。
個性満載のエロル・ガーナーですが、ハマる人にはハマると思います。
それにビハインド・ザ・ビートが分かるようになるとジャズの楽しさも一段と増してくると思います。
エロル・ガーナーは、初心者の方にはおすすめしないと書いて来ましたが、もしも興味のある方は、下記の演奏も一度聴いてみてください。
代表曲1 Misty
代表曲2 Autumn Leaves – Concert By The Sea
アルバム「Concert By The Sea」の枯葉でビハインド・ザ・ビートを聴いてみてください。