セロニアス・モンクのピアノはジャズ初心者にはおすすめしません。
私は、ジャズ初心者の頃、今になってみると自分でも理由が分かりませんが、セロニアス・モンクのCDを何枚か買って聴いていました。
「なるほど、これがジャズか」と思っていましたが、今少しジャズに詳しくなるとセロニアス・モンクのピアノは、ジャズピアニストの中では大道のピアノではありません。
セロニアス・モンクは、ジャズ史に名前を残したピアニスト、作曲家には間違いないですが、とてもユニークな存在の為、世に名前が出るまで15年程時間が掛かりました。
ピアニストとしてもユニークですが、作曲家としても唯一無二の曲をたくさん残しています。
そんなセロニアス・モンクの代表曲・おすすめ曲を紹介したいと思います。
あなたが、ジャズ初心者でもハマる人には、ハマるピアニストですね。
目次
代表曲① ストレート・ノー・チェイサー(Straight No Chaser)
セロニアス・モンクの代表曲であり、モダンジャズの代表曲でもある曲が、このストレート・ノー・チェイサーです。
ジャズのセッションに行くようになると始めに練習するのが、Fのブルースですが、このストレート・ノー・チェイサーもFのブルースです。
「ストレート・ノー・チェイサー」は、セロニアス・モンクの曲の中でも有名で、モンクらしさ満載の曲です。
曲を聴くのが一番分かりやすいのですが、まずはメロディーがつんのめるように、どこが小節の頭か分からなくなる曲です。
ジャズのセッションに行くと頻繁にやる曲ですので「ストレート・ノー・チェイサー」だけは、ジャズ初心者にもおすすめです。
代表曲② ラウンド・ミッドナイト (‘Round Midnight)
「ラウンド・ミッドナイト」も超有名は曲ですね。
セロニアス・モンクの演奏も有名なのですが、一番有名にしたのが、あのマイルス・デイヴィスです。
モンクの曲はモンクらしさがあると紹介してきましたが、「ラウンド・ミッドナイト」は、それに加え最もモダンジャズらしい曲の中のひとつです。
この曲は、モンクが1940年頃作曲をしてマイルス・デイヴィスが1944年に発表しています。
マイルス・デイヴィスのトランペットとこの曲のメロディーがぴったりですね。
代表曲③ ブルー・モンク(Blue Monk)
セロニアス・モンクらしい一番の曲が、私の中では、「ブルー・モンク」だと思っています。
メロディーがつんのめる感じがありますが、まだギリギリ分かりやすい曲です。
それにしてもモンクのピアノはガツガツしていますね。ピアノのキラキラした音色が好きな人にはちょっと違和感があると思いますが、ジャズ好きには一癖ある方がクセになるようです。
代表曲④ Well, You Needn’t
作曲家セロニアス・モンクを象徴する曲です。
Well, You Needn’tは、初めて聴いた時から好きになりました。
モンクのピアノはゴツゴツしているので個人的には他の人がやっている「Well, You Needn’t」の方が聴きやすくて好きです。
クセがありますが、黒本1にも掲載されているのでジャズ初心者でも挑戦可能な曲です。
代表曲⑤ ブリリアント・コーナーズ(Brilliant Corners)
絶対ジャズ初心者には、おすすめしない曲です。ジャズを聴き倒した人が最後にいきつく曲ではないかと思います。
いい意味で言うのですが、セロニアス・モンクは変態ではないかと思います。いや、変態でしょう。
代表曲⑥ アイ・ミーン・ユー (I Mean You)
「I Mean You」は、ジャズのセッションに行くとたまにやる人はいます。この曲をやると「けっこうやるな」って感じがします。
この曲は、まずはメロディーを間違わずに演奏するのに緊張する曲です。
セロニアス・モンクの経歴紹介
セロニアス・モンクは1917年に生まれています。
あのビバップで有名なディジー・ガレスピーと同い年、マイルス・デイヴィスより9つ年上になります。
ピアノはほとんど独学だっただろうと言われています。それでも20代前半で有名なジャズクラブ「ミントンズ」のピアニストとして雇われていたというのでかなりの腕前ですね。
当時のチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーと一緒にやっていたので名前は知られていましたが、流行りに乗るわけでもなく不遇の時代は長く続きました。
(彼は、売れたいと思っていなかったと思います。やりたい曲をやりたかったと。)
理由は、精神の病もあったようですが、モンクの書く曲が大衆受けしなかったということ。
プロの人達もモンクの書く難しい曲ではあまり一緒にやりたがらないようでしたが、モンクは音楽理論をよく知っているので仲間からは一目置かれていました。
マイルス・デイヴィスなどそうそうたるメンバーに音楽理論を教えていたこともあるようです。
このブログで紹介した曲意外でも有名な曲は多いですが、どれも少し聴くとモンクの曲と分かる曲です。
「バップの高僧」と呼ばれたセロニアス・モンクは、結果的に名曲も存在感も残したミュージシャンでした。
セロニアス・モンクの演奏の特徴
セロニアス・モンクの演奏の特徴は、とにかく野太いガツガツした演奏です。
ピアノに軽やかなキラキラした音を求めてしまうと、はっきり言うと聴きづらい演奏ですよね。
私は、ジャズ初心者の頃、セロニアス・モンクのCDを買ってしまい「なるほど、これがジャズか」と思っていましたが、それ以降モンクと同じような演奏をするピアニストは知りません。彼の演奏は彼しかいません。
アドリブの弾き始めの時、ものすごく音数の少ない演奏をします。
「この人、レジェンド?」と疑うほどの演奏です。
それと気になるのが、隣のキーを叩いて不協和音的な音を出すこと。
それも計算されていると言われれば、「へ~、そうなんですね」と言うしか仕方ありません。私は気になります。
マイナス要素ばかり書いていますが、それでもセロニアス・モンクの記事を書こうと思ったのは、彼の魅力なのかなと思います。
人は、なぜかひたむきに頑張っている人を応援したくなります。
セロニアス・モンクほど自分の信じる音楽をぶれずにやり続けた人もいないのではないかと思います。
そのひたむきな姿に好感が持てるのです。