ハードバップとは何か?ジャズ初心者向けにビバップ、クールジャズとの違いを徹底解説

ジャズ

ハードバップについてジャズ初心者にも分かりやすく説明します。

ハードバップは、モダンジャズの中でも一番モダンジャズらしいスタイルになります。

ジャズを全く知らない人がハードバップの曲を聴いても「これ、ジャズですよね。」と分かる曲がハードバップの曲です。

スタンダードジャズと言うとジャズのスタイルに関係なく有名で誰でも知っている曲のことを言いますが、ハードバップの曲にはスタンダードジャズが多くあります。

この記事を読むとハードバップがどういうジャズのスタイルかすぐに理解できます。

よく比較されるビバップやクールジャズとの違いも徹底解説します。

 

ハードバップの成立ち

ハードバップの成り立ちを説明する前に簡単にジャズの変化の順番の確認です。

スウィングジャズで大いに盛り上がったジャズですが、その後、スウィングジャズにマンネリ化を感じ、もっと個人のアドリブを中心とした演奏形式をとりたいとビバップが流行ります。

ビバップにマンネリ化すると、今度はもっと聴きやすくてオシャレな演奏を中心としたクールジャズ、ウェストコーストジャズが誕生します。

そしてその次に生まれたスタイルが、ハードバップというスタイルになります。

ジャズの変化の順番をごくごく簡単に表すと次のとおり

ジャズの歴史
スウィングジャズ:ビッグバンドによるメロディー、アンサンブル重視の曲

ビバップ:コンボ形式による個人のアドリブ重視、即興演奏、刺激的な曲

クールジャズ、ウェストコーストジャズ:メロディー重視、聴きやすく軽めの曲

ハードバップ:分かりやすいフレーズ、個人の感情表現ありなど

このハードバップは、1950年代半ばから1960年代半ばまで流行り、いわゆるジャズの黄金時代の象徴となりました。

ハードバップとビバップとの違い

ハードバップとビバップは、文字的にはバップが付いているので、ほとんど親戚のようなジャンルに思えるかもしれませんが、ジをャズのジャンルとしては大きく違います。

順番としては、ビバップの後にクールジャズが流行りその次に流行ったのがハードバップになります。

ビバップは、それまでのスウィングジャズを否定するような激しさがあります。その後いろいろなジャンルが出てきて、モダンジャズの最終系となるのがハードバップになります。

普通に考えると新しくなる方が激しくなると考えてしまいそうですが、ビバップで一気に激しくなりすぎたので、その後ハードバップでは一番聴きやすい演奏に落ち着いてきたのだと思います。

 

ハードバップとクールジャズとの違い

どちらもビバップの激しさからもっと聴きやすいジャズを派生したのが、ハードバップとクールジャズです。

ビバップは激しく熱く盛り上がる演奏が多いですが、クールジャズは名前の通りクールな演奏が多くなります。

筆者は、ジャズ初心者はクールジャズから聴き始めるのもいいのではないかと思っているくらいです。

なのでクールジャズと比べるとハードバップは、ゆったり目でメロディーがしっかりしています。

あまりクール過ぎても面白くないし、刺激的すぎるのも疲れます。そこで最後にハードバップでジャズの全盛期を迎えたわけですね。

ハードバップの特徴

ハードバップの曲は、テンポはさまざまですが、ビバップやクールジャズに比べると、スローの曲が多いかもしれません。

ハードバップの曲の特徴は、演奏者の感情を音に乗せて表現することです。

そのことにより、ジャズの持つかっこ良さをより前面に打ち出すことに成功しています。

そして今までのスタイル以上に黒人のブルースのフィーリングを熱く押し出した感じと表現する人もいます。

ビバップでは、ほとんどアドリブ合戦のような形式でコード進行はありながらも使える音をどんどん盛り込むような演奏が多いですが、ハードバップの場合、コードによるフレーズ重視の演奏になる為、ビバップほどの自由度はなくなります。

ハードバップのアドリブは、フレーズが耳に残るのでコピーをするにはしやすい演奏と言えるでしょう。

ジャズを聴いていて「渋い」と感じるのは、ハードバップのスタイルが多いですね。

 

ハードバップの名曲

「ディグ」 マイルス・デイビス

ハードバップを象徴する曲は多数ありますが、まずはハードバップの幕開けとなる曲として紹介したいのが、マイルス・デイビスの「ディグ」です。

「ディグ」の曲調は、意外と軽めです。

ビバップ、クールジャズ、ハードバップと、ジャズの大きな変化について全てたずさわっているのが、マイルス・デイビスです。

「バードランドの夜 Vol.1」 アート・ブレーキ―

1954年にアート・ブレーキ―が率いるバンドのアルバム「バードランドの夜 Vol.1」がハードバップの誕生としてとても有名です。

メンバーは次の通り
アート・ブレーキ―:ドラム
ホレス・シルヴァー:ピアノ
クリフォード・ブラウン:トランペット
ルー・ドラルドソン:アルトサックス
カーリー・ラッセル:ベース

バードランドは、当時ニューヨークで流行ったジャズのライブハウスです。

ジャズでバードランドと聞くと「バードランドの子守歌」という曲がとても有名ですが、モダンジャズの歴史を考えるとアルバム「バードランドの夜」も極めて重要だと知ることが出来ます。

「Cool Struttin’」 ソニー・クラーク

この曲は、アルバムの表紙があまりにも有名。

このハイヒールを見るとピンと来るようになるとジャズ初心者を卒業と言ってもいいかもしれません。

「ジャンゴ」 MJQ

MJQ(モダンジャズカルテット)もハードバップを象徴するバンドです。

その中でも代表する曲がこの「ジャンゴ」

MJQの曲は、本当にメロディアスで、ジャズ初心者にも聴いてほしいバンドのひとつです。

少しヨーロッパの雰囲気をかもし出すMJQの演奏を聴いてみてください。

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「Moanin’」 アート・ブレーキ―

この曲も紹介しない訳にはいきません。

「Moanin’」はジャズを普段聴かない人でも「これ、ジャズですね」と分かる曲です。いや、分かるでしょう。

ジャズ初心者の方は、一度聴いてみてください。

「ブルートレイン」 ジョン・コルトレーン

「ブルートレイン」は、ジョン・コルトレーンが1957年に発表したアルバムの冒頭に収録されている曲です。

ジョン・コルトレーンは、モダンジャズを代表するテナーサックスプレーヤーです。この録音の後、マイルス・デイビスのバンドに加入しジャズの黄金時代を築くことになります。

ジョン・コルトレーン登場以降のテナーサックス奏者は、少なからずコルトレーンの影響を受けていると言っても過言でないほど、後のミュージシャンに大きな影響を残すことになります。

ハードバップ まとめ

以上、ハードバップを駆け足で紹介して来ました。

ハードバップのジャンルは、有名な曲を上げるとキリがありません。

今回、この記事に上げていなかった曲でもすごく有名な曲があります。

モダンジャズを象徴するスタイルが、このハードバップの曲に集中しています。

聴いていてもとても馴染みやすく、アドリブも比較的コピーしやすいフレーズが多いと思います。

是非、ハードバップに詳しくなってジャズを楽しんでください。

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