クールジャズ、ウェストコースト・ジャズを初心者向けに分かりやすく説明します。
ジャズの歴史を見てみるとビックバンドで演奏するスウィングジャズが流行った時期がありました。
スウィングジャズにマンネリを感じるようになると、より少ない人数で即興演奏をメインで演奏するビバップが大ブームになります。
このビバップは、テンポも速くアドリブも長いので一部の人には人気があっても、この演奏スタイルにも飽きてくる人がいます。
ビバップの後に誕生したのが、クールジャズです。
その後に、西海岸ロサンゼルスで白人中心に発展したジャズをウェストコースト・ジャズと言います。ウェストコースト・ジャズは、クールジャズの影響を受けて誕生したと考えられています。
クールジャズとウェストコースト・ジャズは、別のジャンルになりますが、クール系ジャズとして合わせて紹介している場合もあります。
ほとんど親戚のようなジャンルなので、この記事ではまとめて説明します。
目次
クールジャズの成立ち
クールジャズの成り立ちをスウィングジャズから説明します。
ビックバンドで演奏するスウィングジャズが流行りアメリカでジャズの人気が不動のものとなりました。
そこからより刺激的な即興演奏を求めてビバップが誕生します。
ところが、その反動としてもっと聴きやすいメロディアスな音楽を追求し発生したのがクールジャズです。
ごく簡単に説明するとこんな感じ
↓
ビバップ:刺激的、即興演奏
↓
クールジャズ:聴きやすい、軽め
なので、クールジャズの持つ雰囲気は、ビバップ前のスウィングジャズに近くなっています。
・アドリブがメロディアス
・軽め
・白人的
・1940年代後半
レスター・ヤング クールジャズの元祖
レスター・ヤングは、1909年生まれのテナーサックス奏者です。
「モダンジャズの父」として有名なチャーリー・パーカーが、スターとして憧れていたのが、レスター・ヤングですから、どれくらいすごいか分かりますよね。
レスター・ヤングが活躍したころは、ビバップ前ですから当然スウィングジャズの時代です。
スウィングジャズにも即興演奏はあるので、そこでレスター・ヤングは即興演奏をして周りから評価を受けていました。改めて聴いてみると、確かにあふれる様にフレーズが湧き出てきています。
その即興演奏が、他の演奏者と比べ「冷静な雰囲気でおしゃれ」であることから「クール」という言葉が発生しています。(ウェキペディアより)
マイルス・デイビス 「クールの誕生」
ビバップ後にクールジャズが誕生していますが、これはご存知マイルス・デイビスが多いに貢献しています。
チャーリー・パーカーを追いかけて同じバンドでやっていたマイルス・デイビスですが、新しい音楽を求めて脱退します。
詳しいことは憶測でしかありませんが、チャーリー・パーカーと同じことをやっていたらいつまでたっても一番にはなれないと、マイルス・デイビスが行動したのだと思います。
1950年にマイルス・デイビスが名曲「クールの誕生」を発表しています。
「クールの誕生」を発表したことでクールジャズを始めた人は、マイルス・デイビスと説明している記事もあります。
クールジャズの元祖がレスター・ヤングで、本格的にクールジャズを確立したのがマイルス・デイビスなのだろうと思います。
しかし、白人的なジャズと言われるクールジャズを始めたのが、マイルス・デイビスというのが、興味深いところです。
マイルス・デイビスが軽めのジャズって、ちょっとイメージが違うんですよね~
ウェストコースト・ジャズの成立ち
クールジャズに影響を受けて西海海岸ロサンゼルスで発展していったのが、ウェストコースト・ジャズです。
ジャズは、アメリカの東側で発展していきますが、このウェストコースト・ジャズは、西海岸で発展してきた音楽です。
ウェストコースト・ジャズの特徴は、ほとんどクールジャズと同じですが、クールジャズの方が、よりアンサンブル重視です。
・軽め
・アンサンブル重視
・白人的
・1950年代前半
デイヴ・ブルーベック 「テイクファイブ」
「テイクファイブ」は、ジャズをほとんど聴いたことがない人でも知っているジャズの名曲ですね。
「ジャズで有名な曲、3曲は?」という質問に答えると、私なら「テイクファイブ」を上げると思います。
デイヴ・ブルーベックの曲で他にはあまり有名な曲はないような気がしますが、とにかく「テイクファイブ」だけでも十分な功績を残したことは、間違いありません。
私は、初心者の頃、ジャズのセッションに行ったら「テイクファイブ」はよく演奏される曲だろうと思っていました。
でも「テイクファイブ」は、セッションではほとんど演奏されません。
5/4拍なのでドラマーが大変。同じコードが続くので逆にやりにくい、という理由ですね。
チェット・ベイカー ウェストコースト・ジャズを代表するトランペット奏者
私は、ジャズを始める前までは、チェット・ベイカーのことは知りませんでした。
チェット・ベイカーというトランペット奏者は、当時はマイルス・デイビスをしのぐほどの人気がありました。
トランペットだけでなく中性的な声で歌い、イケメンな白人という理由も多いにあったと思いますが、チェット・ベイカーの即興演奏は、とてもメロディアスなんです。
耳障りがいいので、聴いていても飽きがきません。ジャズの演奏で「誰のアドリブをコピーしようか」と迷った時は、チェット・ベイカーのアドリブがいいとすすめる人もいます。
残念ながら、この頃のミュージシャンとしては、大道(?)の薬もやっており、不遇の時代も過ごしています。
チェット・ベイカーの代表曲と言えば、名曲「マイ・ファニー・バレンタイン」ですが、私としてはウェストコースト・ジャズを象徴する「枯葉」の演奏を聴いてほしいと思います。
クールジャズ、ウェストコースト・ジャズ のまとめ
ジャズにハマると、感情豊かな演奏やアドリブが激しい即興演奏を求めがちですが、改めて軽めのジャズも悪くない気がします。
ジャズのセッションでビバップやモードジャズが続いた後にクール系のジャズをやると結構受けがいいので、よかったら試してみてください。
ギル・エバンス
アート・ペッパー
レイ・ブラウン
デクスター・ゴードン
モダン・ジャズ・カルテット